詩「落葉樹」
◆もうすぐ春が来て、桜が咲く。しっかりと自分自身を見つめることができた冬であったであろうか。◆今日は詩「落葉樹」を。with Leica Q2
落葉樹
藤川幸之助
落葉樹が冬に葉を落とすのは
自分自身が生きていくためだそうだ
力つきて丸裸になるのではない
自分自身というものを
青い空にすかしてみる
一つ一つの枝の先が
くっきりと見えてくる
心のひだのように見えてくる
葉を繁らせていては分からないこと
花を咲かせていては気づかないこと
真っ青な空に自分自身という
幹と枝をすかしてみる
裸の自分をすかしてみる
落葉樹にも
生きていくために
確かめなければならないことがある
詩集『マザー』(ポプラ社)より
©FUJIKAWA Konosuke
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