認知症の母の詩
詩「領収書」◆他者の存在によって自分が変わる
◆心臓の病を患っていた父は、「おれの最後の大切な仕事だ」と言って、命がけで母の介護をした。母を支えたのは父だったけれど、父もまた認知症の母に生き甲斐を与えられ、母に生かされていたようにも思うのだ。◆詩人の谷川俊太郎さんは、この詩について「僕は「誠実なる生活」とお父様がノートに書いていたっていうエピソードに感...
◆心臓の病を患っていた父は、「おれの最後の大切な仕事だ」と言って、命がけで母の介護をした。母を支えたのは父だったけれど、父もまた認知症の母に生き甲斐を与えられ、母に生かされていたようにも思うのだ。◆詩人の谷川俊太郎さんは、この詩について「僕は「誠実なる生活」とお父様がノートに書いていたっていうエピソードに感...
◆母が認知症になって亡くなるまで、二十年以上もの間、母と言葉を通して意思疎通をしたことがなかった。言葉に耳を澄ますことができなければ、その存在に耳を澄ますしかない。記号である言葉と違って、存在が放つものには明確な意味など存在しない。だから、その存在を感じて自分の中で自分なりの意味が生まれるのを待つしかないの...