BLOG「月のように生きる」

◆今日の写真は詩人の谷川俊太郎さんとの写真だ。黒のポロシャツを着て、顔をぐちゃぐちゃにして喜んでいるのが私。詩集『満月の夜、母に施設に置いて』(中央法規・2008年)を共著で作った。その詩集完成の打ち上げの食事会でのひとこまだ。この時、「お母さんが亡くなられた後、藤川さんがどんな詩を書くのか楽しみだな」と谷川さんは言った。この日も「じゃあねえ」と、私に手を振って谷川さんは帰っていった。◆この仕事以来、詩の仕事を回してくれた。私の2冊の詩集に帯文を書いてくれた。推薦文を書いて出版社に私の原稿を送って、詩集を作る後押しをしてくれた。電話はいつも突然だった。そして、いつもの「藤川さん、じゃあねえ」で電話が切れた。◆対談ではじめて谷川さんのご自宅に伺ったときも、緊張している私を見かねて、対談しながら奥へ引っ込んで水を持ってきてくれたり、土産で持って行ったカステラを持ってきたりと、私の心をほぐしてくれた。この時も別れ際、谷川さんは「じゃあねえ」と言った。このやさしい口調の「じゃあねえ」を聞くと、また谷川さんに会えるかもしれないといつも思った。◆こんなにお世話になった谷川俊太郎さんが亡くなった。親を失った時のような感じだ。谷川さんは「死ぬというのは人生の苦しみからの解放だ」とか、「ぼんやりと死んでいく」とも言っていた。とてもさみしくて、悲しい。でも、谷川さんのことだからこの地球に姿はなくても、この宇宙のどこかにおられると思う。今日は私から「谷川さん、じゃあねえ」。◆今日の詩は谷川俊太郎さんの私への言葉を。
◆この話の続きはニュース◆TBS NEWS DIGで!
「一日一食と聞けば自分も一食に」谷川俊太郎を追い続けた詩人・藤川幸之助 が語る忘れられない言葉
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/gallery/1573508?image=5

詩集「まなざしかいご」の帯の言葉
(中央法規・2010年)

愛と苦しみから
生まれた
言葉なき
「まなざし」こそ、
詩の源。
そこには
深い知恵が
ひそんでいる。
       谷川俊太郎

詩集「支える側が支えられ 生かされていく」
の帯の言葉(致知出版社・2020年)

混沌を生きる母のいのち
愛を貫いた父のいのち
詩で立ち向かう息子のいのち
それぞれのいのちが愛おしい
谷川俊太郎

©FUJIKAWA Konosuke

◆詩集『満月の夜、母に施設に置いて』(中央法規・2008年)
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◆詩集【支える側が支えられ 生かされていく】
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◆エッセイ集
「母はもう春を理解できない
 ~認知症という旅の物語~」
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