
磨くということは◆詩「道」
◆毎年、仕事納めの日には、一年間お世話になった仕事道具を数時間かけて磨く。 ◆今年は、写真に並ぶ7本の筆記具を磨き上げた。文房具がお好きな方のために少しご紹介すると、左から順に: ・ペリカン M800 (BB) ・ペリカン M800 (B) ・ペリカン トレド (EF) ・パーカー デュオフォールド ・カラ...

◆毎年、仕事納めの日には、一年間お世話になった仕事道具を数時間かけて磨く。 ◆今年は、写真に並ぶ7本の筆記具を磨き上げた。文房具がお好きな方のために少しご紹介すると、左から順に: ・ペリカン M800 (BB) ・ペリカン M800 (B) ・ペリカン トレド (EF) ・パーカー デュオフォールド ・カラ...

◆海辺で海を見つめながら並んでいる無数の丸い石を見ると、心臓病を患いながらも認知症の母を介護した父と、いつも寄り添い手をつないでいた二人の姿がありありと胸に浮かぶ。◆「もっと息子としてできることがあったのではないだろうか」。この問いが後悔のように、今でも夕日に色づく水平線から波に乗って打ち寄せてくる。今日は...

◆徘徊とは、どこともなく歩きまわることをいう。また、「徘徊る」と書いて「たもとおる」と読み、同じ場所をぐるぐるまわることを意味する。認知症を患ってからの母もどこともなく歩き、ぐるぐる同じ場所を歩き続けた。◆母にとってそれは本当に「どこともなく」だったのだろうか。母にとってそれは本当に「同じ場所ぐるぐる」と歩...

◆認知症の母は、家族が集まると、決まって人の話を遮っては自分の話ばかりを繰り返しました。当時の私はその理由を理解できず、「自分の話ばかりするのはやめてくれ」と、苛立ち紛れに母を咎めてばかりいました。 ◆母が言葉を完全に失ってから、私はようやく思い至ったのです。母は、私たちの会話の内容が分からなくなっていたの...

◆年を重ねたせいか、はたまた多忙のせいか、この頃とみに固有名詞が出てこなくなった。その一方で、どれだけ時が経っても忘れられない記憶もある。それは、喜びや切なさ、思いといった感情と強く結びついた記憶だ。 ◆認知症というのは何でも忘れ去ってしまうとか、記憶を消し去ってしまうように思われがちだが、認知症になっても...

◆今日の詩「紙おむつ」を書いた頃、宮本輝や向田邦子、そして伊集院静の初期の小説を、私は好んで読んだ。 ◆目まぐるしく事件が起こる物語とは一線を画し、彼らの作品には、ありふれた日常の中に潜む、思いがけない時間の厚みと、まるで幸せに縁取られたかのような静かな悲しみがあった。そして何より、彼らが紡ぐ言葉の一つ一つ...

◆もうすぐ春が来て、桜が咲く。しっかりと自分自身を見つめることができた冬であったであろうか。◆今日は詩「落葉樹」を。with Leica Q2落葉樹 藤川幸之助 落葉樹が冬に葉を落とすのは自分自身が生きていくためだそうだ力つきて丸裸になるのではない 自分自身というものを青い空にすかしてみる一つ一つの枝の...

私の中の母 藤川幸之助母よ認知症になってあなたは歩かなくなったしかし、私の歩く姿にあなたはしっかりと生きている 母よあなたはもう喋らなくなったしかし、私の声の中にあなたはしっかりと生きている 母よあなたはもう考えなくなったしかし、私の精神の中にあなたはしっかりと生き続けている 私のこの身体も私...

◆商売をやっていた父母は、年末年始は歳末の売り出しやら初売りの準備やらでとても忙しく、幼い頃一緒にゆっくり過ごした覚えなどない。私は出入りするお客をよそに、一人でテレビを見たり本を読んだりした。◆ほったらかした息子に申し訳ないと思ってか、初売りが一段落した頃に母が一緒に双六(すごろく)をしてくれた。「双六の...

◆詩「生きる」ではなく、詩「ただ生きる」だ。「未発表の詩だから掲載したら」と何気なく渡された詩だったが、私の原稿をしっかりと読み込んで、私の詩集『満月の夜、母を施設に置いて』(中央法規出版・2008年)の「あとがき」のために書き下ろされた詩だった。◆認知症の母が亡くなって作った詩集『徘徊と笑うなかれ』(中央...