朗読詩「絆」◆講演会のお知らせ


       藤川幸之助
絆とはもともと
動物を繋ぎ止めておく
綱のことらしい
だから絆という言葉は
あまり好きではなかった

仲良く食事をする母と息子を見かけた
絆どころかあんな風に
母と二人で外食したこともなければ
一緒に旅行した記憶もない
思春期以降の母との思い出は
悪態をついて家出したことぐらい

ある日、なんで俺がこんなことを?
と、愚痴りながらも
認知症の母のオムツを替えていると
ふと若い頃の母の顔を思い出した
幼い私のまとまらない話を
いつまでもいつまでも聞いてくれていた
母の笑顔を思い出した
母と繋がる一本の綱をたぐるように
泣いている私をただただ
理由も聞かずに強く強く抱きしめた
母の柔らかさを思い出した

絆とはもともと
動物を繋ぎ止めておく
綱のことらしい
だから絆が「深い」ではなく
絆が「強い」なのだそうだ
母と繋がる一本の綱を強く引き寄せる
私の命が深く強く輝く
「支える側が支えられ 生かされていく」(致知出版)より
©Konosuke Fujikawa【詩・動画*藤川幸之助】
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◆藤川幸之助・講演会
「支える側が支えられるとき」
~認知症の母が教えてくれたこと~
◆日時:2020年11月26日(木) 13:30〜15:30
◆会場:名古屋芸術大学アートスクエア 大ホール
◆入場無料(チケット制 指定席 先着順) 定員320名
講演会主催:北名古屋市・清須市・豊山町
問い合わせ :北名古屋市高齢福祉課 地域包括ケア推進室
電話:0568-22-1111(内線3139)
※新型コロナウイルス感染症予防対策を講じて実施します。
※新型コロナウイルス感染症の状況によっては中止になる可能性があります。
◆講演会の詳細は 
http://www.k-fujikawa.net/photo_1/1605678919043388.pdf

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*藤川幸之助】
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【詩】「微笑み」◆絵本ができました。

2020年10月06日
◆今日は、新刊・絵本『一本の線をひくと』のお知らせです。藤川幸之助・作「絵本 こどもに伝える認知症」シリーズ全5巻(クリエイツかもがわ)を、本年3月より順次刊行しております。その第3弾『一本の線をひくと』が9月26日(土)に発売になりました。是非ご高覧ください。◆【絵本『一本の線をひくと』の詳細は】https://www.creates-dc.com/dementia
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微笑み
       藤川幸之助
幸せは築きあげていくなんて
そんな大げさなことじゃなくて
ただ心の中の小さな微笑みだ。
目標でもなければ
目的でもない
ましてモノでもなく
楽園でもない。
幸せとはどんな時にでも
微笑むことができる強い心だ。
幸せがあるから
あなたは微笑むのではなく
微笑むからあなたは幸せになっていく。

「愛する―それはお互いを見つめあうことではなくて
 いっしょに同じ方向を見つめることである」
とサン=テグジュペリは言ったけれど
心は見えないから
時には見つめ合い
相手の瞳の中に自分の微笑みがあるか
いつも確かめておいた方がいい。

こんな時だからこそ
互いに見つめ合い
自分がどれほど相手を幸せにしているかを
いつも感じて暮らす。
幸せは築きあげていくなんて
そんな大げさなことじゃなくて
慎ましい日々の暮らしの繰り返し
その中で微笑み合うこと
©Konosuke Fujikawa【詩・文*藤川幸之助】

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【朗読】詩「約束」◆「カレーですかね」と正代関

◆2020年10月01日
◆今日は相撲の話から。この9月場所で優勝して、正代関は昨日大関に昇進した。同郷ということもあってこれまで応援してきた。熊本出身力士初の優勝とは喜びも一入だ。◆「肥後もっこす」という熊本県人の頑固な気質を表す言葉がある。この自己顕示が強く、短気で強情っ張り、自分の意見を押し通す「もっこすぶり」は、正代関の語り口には全く感じられないが、少々気が小さそうなところを見せながら、一旦取り組みとなると腰が高い高いと再三言われながらも胸から強く当たり、相手の攻めを凌ぐあの柔らかな取り口には、自分を最後まで淡々と押し通す「肥後もっこすぶり」を感じずにはいられない。◆優勝したてのその正代関へ「息子が食べたいものを作ってあげます」とのお母さんの言葉に応じて、「カレーですかね」と正代関が子どもの顔にもどって言っていた。カレーライスは幼い頃の母の記憶と重なった「ごほうびの料理」なのかもしれない。ちなみに正代関はこのカレーを何杯ぐらい食べるのだろうか。◆今日はこのカレーのことを書いた詩を。【朗読動画・創作秘話】

約束      
      藤川幸之助
今度帰るときには
ライスカレーを作っておくからと
嬉しそうに母は約束した。

久しぶりに実家に帰ってみると
約束通りライスカレーが
テーブルの上においてあった。
食べると母の味つけではない。
レトルトのカレーとハンバーグを
皿に盛りつけただけのものだと
すぐに分かった。
「お母さんのカレーはうまか」
大げさに父は言っている。
「これ母さんレトルトだろ?」
私は不機嫌に言った。
「二つとも時間をかけて作ったんよ」
母は言い張った。
「ちがうよこれは母さんのカレーじゃないよ」
「お母さんのカレーはうまか」
母の方を向いて大声でまた父が言ったので
私も意地になって言い返えそうとした時
「お母さんのカレーはうまか」
父が私をにらみつけて言った。

母が風呂に入って
父と二人っきりになった。
作り方を忘れてしまって
料理を作らなくなった母のことを聞いた。
私とのライスカレーの約束の話を
母は父に何度も何度も話し
しまいには台所で泣き出したのだそうだ。
だから、父がレトルトのカレーを
用意したというわけだった。
「幸之助、おまえは幸せだなあ
 こんなになってもおまえの好物を
 お母さんは忘れんぞ」
父がうらやましそうに言った。
「支える側が支えられ 生かされていく」(致知出版)より
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◉詩

詩「本当のところ」◆講演情報

◆新型コロナウイルスで、2月末から延期や中止が続いていた講演会が7月5日(日)に4ヶ月ぶりに始まります。この講演は看取りについてもお話をしたいと思っています。今日の詩は、この講演会で朗読する詩です。
◆講演日 7月5日 (日) AM10:00〜PM12:00
・会場 福岡県大川市榎津844 覚了寺
・演題「命に寄り添うということ」
・問い合わせ 覚了寺 電話:0944-86-3655 
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L1000251-2
本当のところ
         藤川幸之助
胃瘻から栄養を入れることができないので
高カロリー輸液を
母に中心静脈から入れるかどうか
医師に尋ねられた
「母はもうくたびれています
 もうゆっくりさせたいので
 入れないでください」
と、私は言って帰った
これが私の本当のところ

するとそう延命というわけでもないし
入れていいんじゃないかと
妻が言い
兄も
医者をしている兄の娘も
入れるのに一票投じた
本当は私の一存で
母を殺していいのかと思っていたので
安心したというのも本当のところ

静脈から高カロリーを入れて
元気になっても
この肺の状態では一、二ヶ月後肺炎になって
またこんな状態になるのは目に見えている
母を生かし続けるのに
罪のようなものを感じた
実はこれも本当のところなんだ

いつもは不携帯の私が
便所に入るときも
風呂に入るときも携帯して
夜中何度も何度も枕元の携帯電話を確かめる
母の死にびくびくするこんな日々が
また続くのかとも思った
「私はもうくたびれています
 もうゆっくりしたいので
 入れないでください」
と、私は言いたかったのかもしれない
これもまた本当のところ
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【詩「夕日を見ると」】

◆「分かること」と「受け入れること」とは違う。母が認知症だということは重々「分かって」いるのだが、私のような感情をなかなかコントロールできない者には、毎日毎日同じことのくり返しだった。◆「分かって」はいるけれど、認知症の母を簡単には「受け入れる」ことができなかった。「受け入れること」とは自分のこととして「分かること」なのだ。母が認知症になった年齢に自らが近づきやっと分かってきたことだ。◆今日は長崎の海の夕日と、詩「夕日を見ると」の朗読動画をどうぞ。
【朗読動画】夕日を見ると

夕日を見ると
     藤川幸之助   
今日もここから
あの夕日が見えました
あの夕日を見ると
いつも思うんです
今日も母にやさしくできなかったと
もっと母にやさしくすればよかったと

ウロウロするな!
ここに座っていろ!
同じことばっかり言うな!
もう黙ってろ!
母さんが病気だって
分かっちゃいるけど
「おれの母さんだろう!
 しっかりしろ!」
と、つり上がった目で
何度も何度も母に言って
母は驚いて
私を悲しそうに見つめて
私は言った後自分をずっと責め続けて

この夕日を見ながら
明日こそ母へやさしくしようと
毎日毎日そう思うけれど
毎日毎日このくり返し
母さんごめんなさい
母さんに苛立つぼくを許してください
母さんごめんなさい
こんなぼくを許してください
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