【お家で読む1ダースの詩+α】藤川幸之助

5/10【母の日】
気づいてみれば今日は母の日、家で、力を抜いて、開いて、読んで、閉じて、お母さんのことを考えて。朗読動画のおまけ付き。
【朗読動画クリック→】https://youtu.be/ESZu_oX8K-Y

◆手をつないで見上げた空は
藤川幸之助

幼い頃
手をつないで見上げると母がいた
青空は母よりもっと遠くにあって
大きな白い雲が一つ流れていた
幸せのことなんて考えたことなかった

私がつまずき失敗をすると
私の手を両手で優しく包んで
母はいつも青空の話をした
雲が流れ雲に覆われ
青空は見えなくなり
時には雨が降るから
青空を待ちこがれて
青空の美しさに
心打たれるんだと
何度失敗して何度つまずいたことか
そして何度この話を聞いたことか

認知症の母との日々の中で
苛立ちという雲が出て
悲しみという雨が降った
私は何度も失敗してつまずいても
母は何も言ってくれなくなったが
手をつないで散歩をすると
いつも母は静かに空を見上げていた

青空がただ頭上に広がっている
幸せもまたただあるもの
求めるのではなく
気づくものなんだ
と母と手をつないで
空を見上げるといつもいつも思う
「支える側が支えられ 生かされていく」より
◆自選藤川幸之助詩集
【支える側が支えられ 生かされていく】
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©Konosuke Fujikawa【詩・朗読
*藤川幸之助】
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【お家で読む1ダースの詩 #12】藤川幸之助

5/7
4月26日から12日間、12篇の詩をお送りしました。家で、力を抜いて、開いて、読んで、閉じて、今日で詩の12日間は終わります。この先の見えない状況の中、つたない私の詩ですが皆さんの一筋の希望になれることを心より祈っています。また、この新型コロナの中で我々の命を支えてくださっている全ての方々に感謝をこめて、今日は朗読を送ります。
【朗読動画はクリック→】https://youtu.be/dOOl1_nCPPc


        藤川幸之助
何度も転んだ。
何度も何度も立ち上がった。
そのたびごとにじだんだ地団駄ふ踏んで
踏み固めてきた私の道は
あの山をこ越え
私はまだ見たこともない私に出会い
あの海に行き着き
人の悲しみの深さを知った。

顔に当たる風の強さで感じるのだ。
血のにじむひざ膝の痛みで感じるのだ。
立ち上がり歩み出す私の一歩が
転ぶごとに力強く大きくなっていることを。
あの悲しみから踏み出したその一歩が
この喜びへつながっていることを。

私をつまずかせた石ころの中に
転んだ私の心の中に
私の明るい未来はひそ潜んでいる。
何度も何度も立ち上がり
大粒の汗をしみ込ませて
道が私の道になっていく。
詩集『支える側が支えられ 生かされていく』(致知出版)
©Konosuke Fujikawa
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©Konosuke Fujikawa【詩・写真*藤川幸之助】

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【お家で読む1ダースの詩 #11】藤川幸之助

5/6.7
12日間、12篇の詩をお送りしています。家で、力を抜いて、開いて、読んで、閉じて、また明日。詩の12日間。

やま
   藤川幸之助
さんぜんねんまえから
やまはしっていた
こちらがわのひとが
あちらがわのひとに
あこがれていることを
あちらがわのひとも
こちらがわのひとに
あこがれていることを
やまはじぶんのことを
うんめいのようだとおもっていた

にせんねんまえから
やまはまっていた
こちらがわのひとが
このじぶんをこえて
あちらがわにいくことを
あちらがわのひとも
このじぶんをこえて
こちらがわにたどりつくことを
やまはじぶんのことを
しれんのようだとおもっていた

せんねんまえから
やまはまちのぞんでいた
こちらがわのひとが
このじぶんをほりすすんで
あちらがわにいくことを
あちらがわのひとも
このじぶんをほりくずして
こちらがわにたどりつくことを
やまはじぶんのことを
きぽうのようだとおもっていた

こちらがわがあちらがわになり
あちらがわがこちらがわになり
こっちもあっちもなくなって
はるのひかりのなか
やまはわらっていた
わらったあとやまはおもった
あとはひとのこころのなかの
こっちとあっちがなくなるだけだと
やまはじぶんのことを
てつがくのようだとおもった
©Konosuke Fujikawa
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土 (2)
©Konosuke Fujikawa【詩・絵*藤川幸之助】
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【お家で読む1ダースの詩 #9】藤川幸之助

5/4.5.6.7
12日間、12篇の詩をお送りしています。家で、力を抜いて、開いて、読んで、閉じて、また明日。詩の12日間。

バス停のイス
         藤川幸之助
バス停にほったらかしの
雨ざらしのあの木のイス。
今にもバラバラに
ほどけてしまいそうな
あのイス。

バスを待つ人を座らせ
歩き疲れた老人をいこ憩わせ
バスに乗らない若者の談笑につきあい
時にはじゃま者扱いされ
けっとばされ
毎日のように
学校帰りの子どもを楽しませる。

支える。
支える。
くず崩れていく自分を
必死に支えながらも
人を支え続け
「それが私なんだもの」とつぶやく。

そのイスに座り
そのつぶやきが聞こえた日は
どれだけ人を愛したかを
一日の終わり静かに考える。
少しばかり木のイスのよいん余韻を
尻のあたりに感じながら
〈愛〉の形について考える。
©Konosuke Fujikawa

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