詩「華やかな人」

「華やかな人」    藤川幸之助

きみは夢を実現した人を見たとき、その華やかな姿だけに見とれているようだ。その夢へ至るまでのその人の汗や苦労の日々をきみは知らず、夢をかなえた人のその華やかな光り輝く姿だけに目がいって、自分には才能も運も何もないと落ち込んでいる。夢への近道を考えているのかもしれない。しかし、どこにも近道はありはしない。それを人に聞くこともしてはならない。残念ながら、私にも分からないので教えることもできない。きみの人生を、信じてひたすら歩く。くじけずひたすら歩きつづける。すると自然に道は開けていく。倒れ、ひっくり返り、立ち上がり歩く。それを繰り返し、ひたすら歩く。ただそれだけなのだ、自分の道を見つける方法は。
※「やわらかなまっすぐ」(PHPエディターズグループ)より 写真*藤川幸之助
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