◆今日は、詩集『まなざしかいご』(中央法規)より詩を一編どうぞ。
四つ葉の幸せ
藤川幸之助
四つ葉のクローバーは
見つけると幸せが訪れるという。
小さい頃から
いくつもいくつも
四つ葉のクローバーを見つけては
母がしおりを作ってくれたが
幸せはそうやすやすとは訪れなかった。
幸せとは訪れるのではなく
心の中に見つけるものだ。
そう気づいて
四つ葉のクローバーを見つけるように
心の中に幸せを見つけ続けた。
認知症の母との一日一日の中でも。
クローバーについては続きの話がある。
五つ葉は金銭上の幸せ。
六つ葉は地位や名声を手に入れる幸せ。
七つ葉は九死に一生を得るといったような
最大の幸せを意味すると。
五つも六つも七つもいらないなあと思う。
四つ葉で十分だと思う。
母のしおりには言葉が添えられている
「四つ葉を手にすることより
四つ葉を見つけることを楽しみなさい」と。
「四つ葉」を「幸せ」と置き換えて
母の言葉を読んでみる。