朝日新聞「折々のことば」に掲載◆詩「母の眼差し」

◆今日お届けする詩は、詩「母の眼差し」です。◆本日4月4日(土)の朝日新聞の第1面「折々のことば」で、哲学者の鷲田清一さんが、詩集『支える側が支えられ 生かされていく』(致知出版)の中のこの詩の一節を紹介。ネットや新聞紙面で読んでいただければ幸甚です。
◆朝日新聞記事紙面「折々のことば」

窓

 

 

 

 

 

 

◆母の眼差し
          藤川幸之助
母に朝会うときは
「おはようございます」と言う
昼に会うときは
「こんにちは」と言い
夜には
「こんばんは」と頭を下げ
寝るときには
「お休みなさい」を忘れない

正月には
「あけましておめでとうございます」
と正座して母に向かい
母は食事はしないけれど
母の箸を用意し
縁起の良さそうな袋に入れて
母の前に置く
母の雑煮
母にお屠蘇
何も分からないから
何もしないで良いとは思わない
何を言っても理解できないから
何を言っても許されるというものでもない

母が昔のままそのままの
認知症もどこにもない顔で
私を産み育てた母そのものの眼差しで
じっと私を見つめるときがある
残された者の良心を
母は試しているようにさえ
思えるときがある
『支える側が支えられ 生かされていく』(致知出版)
【本の詳細は】https://amzn.to/2TFsqRT

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多くの方々に詩を読んでいただければと思っています。

©Konosuke Fujikawa【詩・イラスト*藤川幸之助】
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