◆本日9月21日(土)の朝日新聞の天声人語に私についての記事が掲載されています。ネットや新聞紙面で読んでいただければ幸甚です。今日の詩はその天声人語でも紹介されている詩「母の眼差し」です。
母の眼差し
藤川幸之助
母に朝会うときは
「おはようございます」と言う
昼に会うときは
「こんにちは」と言い
夜には
「こんばんは」と頭を下げ
寝るときには
「お休みなさい」を忘れない
正月には
「あけましておめでとうございます」
と正座して母に向かい
母は食事はしないけれど
母の箸を用意し
縁起の良さそうな袋に入れて
母の前に置く
母の雑煮
母にお屠蘇
何も分からないから
母に何もしないでよいとは思わない
何を言っても理解できないから
何を言っても許されるというものでもない
母が昔のままそのままの
認知症もどこにもない顔で
私を産み育てた母そのものの眼差しで
じっと私を見つめるときがある
残された者の良心を
母は試しているようにさえ
思えるときがある
『満月の夜、母を施設に置いて』中央法規出版より
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多くの方々に詩を読んでいただければと思っています。
©Konosuke Fujikawa【詩・写真*藤川幸之助】
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