川は知っている
藤川幸之助
川は憶えている
自分が生まれたあの朝のことを
いつかたどり着くあの海のことを
川は分かっている
どんなにじたばたしても
決して空へは昇れぬ自分のことを
川は感じている
流れることをやめることは
淀み、濁り、ひからび
自分でなくなってしまうことを
川は忘れない
自分の中を流れる自分自身が
ただ一瞬たりとも
同じ自分ではありえないことも
変わり続けることの中で
変えられない自分を抱きしめる
そして、ただただ川は流れる
流れなければならないわけを
川は決して問わない
流れ続けるそのことが
問うことのないその問いの答えだと
川は知っている
©Konosuke Fujikawa【詩・写真*藤川幸之助】
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◆人生においてもまた、生き続けることそれ自体が「問い」であり「答え」であるように思う。母が認知症になって、私が介護をすることになった時も「なぜ?私が」と「問い」ばかりが浮かんだが、ほぞ臍を固めて受け入れたら、見たこともない自分に出会った。そこから進む道が「答え」のように明確に見えた。自分や自分の人生がかけがえのないものに見えてきたように思うのだ。
©Konosuke Fujikawa【詩・写真*藤川幸之助】
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