【お家で読む1ダースの詩 #6】藤川幸之助

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12日間、12篇の詩をお送りしています。家で、力を抜いて、開いて、読んで、閉じて、また明日。詩の12日間。

川は知っている
         藤川幸之助
川は憶えている
自分が生まれたあの朝のことを
いつかたどり着くあの海のことも

川は分かっている
どんなにじたばたしても
決して空へは昇れぬ自分のことを

川は感じている
流れることをやめることは
淀み、濁り、ひからび
自分でなくなってしまうことを

川は忘れない
自分の中を流れる自分自身が
ただ一瞬たりとも
同じ自分ではありえないことも

変わり続けることの中で
変えられない自分を抱きしめる
そして、ただただ川は流れる
流れなければならないわけを
川は決して問わない
流れ続けるそのことが
問うことのないその問いの答えだと
川は知っている
©Konosuke Fujikawa

◆生きることも流れること。人生においてもまた、生き続けることそれ自体が「問い」であり「答え」である。

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【お家で読む1ダースの詩 #5】藤川幸之助

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12日間、12篇の詩をお送りしています。家で、力を抜いて、開いて、読んで、閉じて、また明日。詩の12日間。

四つ葉の幸せ
       藤川幸之助
四つ葉のクローバーは
見つけると幸せが訪れるという。
小さい頃から
いくつもいくつも
四つ葉のクローバーを見つけては
母がしおりを作ってくれたが
幸せはそうやすやすとは訪れなかった。

幸せとは訪れるのではなく
心の中に見つけるものだ。
そう気がついて
四つ葉のクローバーを見つけるように
心の中に幸せを見つけ続けた。

クローバーについては続きの話がある。
五つ葉は金銭上の幸せ。
六つ葉は地位や名声を手に入れる幸せ。
七つ葉は九死に一生を得るといったような
最大の幸せを意味すると。
五つも六つも七つもいらないなあ。
四つ葉で十分だ。

母のしおりには言葉が添えられている
「四つ葉を手にすることより
四つ葉を見つけることを楽しみなさい」と。
「四つ葉」を「幸せ」と置き換えて
母の言葉を読んでみた。
©Konosuke Fujikawa

四つ葉さがし

 

 

 

 

 

 

 

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【お家で読む1ダースの詩 #2】藤川幸之助

4/27.28.29.30.5/1.2.3.4.5.6.7
12日間、12篇の詩をお送りしています。家で、力を抜いて、開いて、読んで、閉じて、また明日。詩の12日間。

Less is more.
藤川幸之助
Less is more.
「より少ないことは
より豊かなこと。」
建築家ミースの言葉。

あふれかえるモノ。
繰り返される口舌。
かき分けたその奥のそのまた奥の
心の奥底にある岸辺にたたずむと
眼前には凪いだ海が
豊かに広がっている。

何一つ持たず
豊かさとして生まれ
何一つ持てず
豊かさの中にかえってゆく。

持たぬことが
教えてくれる
豊かに持つことの
本当の意味。
Less is more.
©Konosuke Fujikawa
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命が命を生かす瞬間より

 

 

 

 

 

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【お家で読む1ダースの詩#1】藤川幸之助

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今日から12日間、12篇の詩をお送りします。家で、力を抜いて、開いて、読んで、閉じて、また明日。詩の12日間。

L1000103
球根
  藤川幸之助
花の咲かない春でした
あの子にもらった球根一つ

掌にのせても
あかい花か
しろい花か
きいろい花か
見つめていても分かりません
じっと待つしかありません

台においても
まるい花か
ちいさい花か
すきな花か
割っても分かるはずがありません
じっと待つしかありません

土にうめても
チューリップか
スイセンか
クロッカスか
水をかけても分かりません
じっと待つしかありません

花の明日を待ちました
花の命を待ちました
待つことだけが
花の命と知りました

あの子にもらった球根一つ
私の明日を待ちました
©Konosuke Fujikawa
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朝日新聞「折々のことば」に掲載◆詩「母の眼差し」

◆今日お届けする詩は、詩「母の眼差し」です。◆本日4月4日(土)の朝日新聞の第1面「折々のことば」で、哲学者の鷲田清一さんが、詩集『支える側が支えられ 生かされていく』(致知出版)の中のこの詩の一節を紹介。ネットや新聞紙面で読んでいただければ幸甚です。
◆朝日新聞記事紙面「折々のことば」

窓

 

 

 

 

 

 

◆母の眼差し
          藤川幸之助
母に朝会うときは
「おはようございます」と言う
昼に会うときは
「こんにちは」と言い
夜には
「こんばんは」と頭を下げ
寝るときには
「お休みなさい」を忘れない

正月には
「あけましておめでとうございます」
と正座して母に向かい
母は食事はしないけれど
母の箸を用意し
縁起の良さそうな袋に入れて
母の前に置く
母の雑煮
母にお屠蘇
何も分からないから
何もしないで良いとは思わない
何を言っても理解できないから
何を言っても許されるというものでもない

母が昔のままそのままの
認知症もどこにもない顔で
私を産み育てた母そのものの眼差しで
じっと私を見つめるときがある
残された者の良心を
母は試しているようにさえ
思えるときがある
『支える側が支えられ 生かされていく』(致知出版)
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